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これだけある!離婚のポイント

いざ、離婚について考えてみようとすると、検討しなければならない要素が思いのほかたくさんあることに気付きます。気付いていないとしたら、重要なことを見過ごしたまま離婚を進めようとしていることなので、逆に注意が必要です。

離婚で考えなければいけない要素を分解すると、大まかにいって

離婚すること自体が可能どうかという問題

相手が暴力を振るってこないか、ストーカー化しないか、相手と接触をすることが精神的な負担にならないか等の、心身の安全の問題

財産分与、養育費、婚姻費用、慰謝料等の、お金の問題

親権、面会交流等の、子どもの問題

⑤解決にどれだけ時間がかかるかという問題

⑥解決案に納得ができるかという問題

の6つに分けることができます。

離婚問題を考えるときは、上記の6分野のポイントを同時に考えないといけません。簡単なようで、意外と難しいものです。

優先順位を決めよう

離婚について考えると、たくさんのポイントが出てきます。

そして、この全てを同時に満足するということは、困難なことが多いでしょう。

たとえば、お金を最大限に請求していこうとすれば、相手方が争ってきて解決までに時間がかかることになりやすいです。また、DV被害を受けて相手方に恐怖心を覚えている場合は、納得がいく解決を求めて徹底的に争うのではなく、多少の妥協をして早期に離婚を成立させるという方向で進めることもあります。

そう考えると、離婚で問題になるポイントの中で、どれを優先すべきか優先順位をつける必要が出てきます。どうしても譲れない優先度の高いポイントは2~3個程度に抑えて、残りのポイントは状況に応じて妥協していくことが必要になります。

では、どうやって優先順位を決めればよいのでしょうか。その答えの最初のヒントは、自分自身の中にあります。まず自分自身が何を最も望んでいるのか、何のために離婚を考えたのか、離婚後にどのような生活を過ごそうとしているのか等を整理しましょう。そうすると、自分にとって本当に重要なものは何なのかが見えてきます。

もっとも、離婚事件は相手がいるものです。こちらがどれだけ望んでも実現不可能なこと、実現する可能性が非常に低いものがあります。たとえば、夫がどれだけ親権を取りたいと願っても、過去も現在もずっと妻が子どもの面倒を見ていて、そこで健やかに子どもが育ってきたとなると、夫が親権を取得することは困難でしょう。夫の浪費と借金が原因で離婚を求める場合、妻が慰謝料を請求したいと願ったところで、借金まみれの夫から慰謝料を回収することは困難でしょう。そのため、こちらの希望がどれだけ実現する可能があるかという視点も重要になってきます。

優先順位は、①自分が何を重要と考えているか②自分の希望はどの程度実現可能性があるか、という二つの観点で決めていくのがいいでしょう。

キーワードは「不等価交換」

離婚について考えるときには、たくさんのポイントの中でどのポイントを優先するのか、どのポイントは妥協してよいと考えるのかが大切です。

この考えをもう一歩進めると、相手方から見て優先順位の高くなるポイントと優先順位が低くなっているポイントがあるということに気付きます(もっとも、相手方は自分自身で意識していないかもしれません)。

そうなると、相手方にとっては優先順位が高いけれどもこちらとしてはさほど問題視していないポイント、こちらにとっては優先順位が高いけれども相手方にとっては重要度が低いポイントを見出すことで、紛争が大幅に解決しやすくなります。

たとえば、相手が早期解決を優先しているようであれば、こちらは早期解決に応じる代わりに金銭面を有利にするように交渉できます。相手方が「慰謝料」という名目で金銭を支払うのは非を認めることになるので嫌だというのであれば、「解決金」「財産分与」等に名目を変えて、金銭を支払ってもらうことにするというのもありでしょう。

それぞれが異なる価値を置いているもの同士を交換する、「不等価交換」を行うことができれば、離婚事件はスピーディーかつ効果的に解決します。

離婚を考えるときの心がけ

離婚を考える上で、物事の優先順位を決めることが大切です。ただ、それ以外にも心がけなければいけないポイントがあります。

1. 裁判官・調停委員は現場を体験していないことを理解する

事件の当事者が体験したことを、裁判官や調停委員は直接体験していません。そのため、双方の言い分が食い違っている事項について、 すぐに一方の言い分の方が正しいという判断をすることはできません。

当たり前といえば当たり前のことなのですが、多くの人はこのことを案外忘れがちです。

意識しなければ、 「自分はこんなに酷い目にあったのに、 なぜ理解してもらえないんだ。」「自分が嘘をついていると疑っているのか」「なぜ相手のことばかり信用するんだ」等、強い不満を感じてしまいがちです。

不要なストレスを溜めこまないためにも、裁判官や調停委員がこちらの言い分を即座に信じてくれないのは当たり前と思ってください。

2. 自分と相手方では、事実の見え方や感じ方が違う

いざ離婚について話し合いをすると、相手方の言うことは全く根も葉もないデタラメというわけではないものの、 随分と捻じ曲がっていると感じることが少なくありません。こちらの何でもない普通の言動が、さも大問題のように騒ぎ立てられるということは、 よくあることです。

この現象は必ずしも相手方が不誠実という理由で生じるものではありません。人間の認知というものは、起きた出来事をありのまま写真のように記憶できるものではなく、 個人の認識というフィルターを通して認知されます。また、人間の記憶は、時が経つにつれて少しずつ変化していきます。一説によると人間は、 自分が他人に与えた恩恵と他人から受けた苦痛のことはよく覚えていて、自分が他人から受けた恩恵と他人に与えた苦痛は、 あまり覚えていないように出来ているといいます。

立場が違えば事実の見え方や感じ方が違ってくることを意識していると、不要なストレスを溜めこまずに済みます。

3. 相手方が嘘をつくのはしょうがない

いざ離婚について話し合い等をすると、特に弁護士や裁判所を通して話し合い等をしようとすると、相手方が急に嘘をつき始めるということはよくあります。

例えば、夫婦同士での話し合いのときには、浮気を認めていたのに、 いざ裁判になると証拠なんてないだろうとばかりに「浮気なんかしたこともない」と言い出してくるなんてケースはよくあります。

裁判等の公の場で勘違いでは済まされないレベルの嘘をつかれることで、相手方に対して更なる怒りが沸いてくるということは、よくあることです。

しかしながら、人間というのは弱い生き物です。日常生活では「人間たるもの嘘はもっとも許されない悪徳だ」等と偉そうなことを言っている人も、 いざ自分が当事者になったら、まずはなんとか誤魔化せないかと考えるものです。大企業や政治家の不祥事対応を見ればよくわかることです。

裁判官や調停委員は現場を直接体験していないので、何とか誤魔化せるんじゃないかという欲望に耐えることは難しいです。むしろ、 不利な事実でも誤魔化すことなく正直に認められる人は、高度な倫理観を持っているものいっていいでしょう。

裁判の場で相手が嘘をついたことでいちいち腹を立てていたら、ストレスで胃に穴が空いてしまいます。

相手方に高度な倫理観を求めることは諦めましょう。

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