ハーグ条約とは
ハーグ条約は、子供の連れ去りによる有害な影響(生活基盤の急変、一方の親や友人との関係の断絶等)から子供を守るために、国境を越えた子供の連れ去りが起きた際の国際協力の仕組みや、国境を越えた面会交流の実現に向けた国際協力について定めています。
条約締結国は、現在90か国(アメリカ、EU全加盟国、カナダ、韓国など)にものぼっており、加盟国と日本の間で起きた子の連れ去り、面会交流事件については、ハーグ条約に則って処理されることになります。
子の返還請求は、原則として、お子さんを元住んでいた国に返還しなければならないという手続です。子供の返還を拒否できるのは、子供の返還を拒否できるのは、
①連れ去り又は留置開始の時から1年以上経過した後に裁判所に申立てがされ、かつ、子が新たな環境に適応している場合
②申立人が連れ去り又は留置開始の時に現実に監護の権利を行使していなかった場合(当該連れ去り又は留置がなければ申立人が子に対して現実に監護の権利を行使していたと認められる場合を除く。)
③申立人が連れ去り若しくは留置の開始の前にこれに同意し、又は事後に承諾した場合
④常居所地国に返還することによって、子の心身に害悪を及ぼすこと、その他子を耐え難い状況に置くこととなる重大な危険がある場合
⑤子の年齢及び発達の程度に照らして子の意見を考慮することが適当である場合において、子が常居所地国に返還されることを拒んでいる場合
⑥常居所地国に子を返還することが人権及び基本的自由の保護に関する基本原則により認められない場合とされています。
DV・モラルハラスメントが原因で外国から日本に子供を連れて帰った方
相手方の同意なく、お子さんを外国から日本に連れ帰ってこられた方は、相手方から、ハーグ条約に基づき返還請求をされる可能性があります。
子の返還請求は、原則として、お子さんを元住んでいた国に返還しなければならないという手続であるため、的確な反論を行う必要があります。また、審理はきわめて短期間(平均審理期間は申立てから6週間と想定されています)かつ専門的なものです。DV・モラルハラスメントが原因でお子さんを連れて日本に帰ってきた場合は、そのことをしっかりと主張立証していかなければなりません。
外国に居住していたら日本に子供を連れ去られた方
外国に居住していたら、配偶者が子供を連れて日本に行ってしまったというケースもあります。この場合、居住していた国がハーグ条約の締結国である場合は、お子さんの返還を求めることが可能です。ただし、ハーグ条約に基づく返還を求めるにあたっては、外務省と連絡を取りながら進めていく必要があります。その際、相手方がDV・モラルハラスメントを主張してくることがあります。これが事実無根である場合、反論をしていかなければなりません。
外国にお子さんを連れ去られてしまった方
お子さんが連れ去られてしまった国が、ハーグ条約の締約国であれば、お子さんの返還を求めることができる可能性があります。 この場合の手続は、日本の裁判所ではなく、連れ去り先の国で行う必要があります。
大変申し訳ございませんが当事務所は外国にお子さんを連れ去られてしまった方の案件には対応いたしておりません。ご了承ください。