もくじ
男性が被害者となるDV・モラルハラスメントと財産分与
財産分与は、夫婦共有財産の対象が何なのか、財産分与の基準時がいつなのか、特有財産と夫婦共有財産の区別はどのようにするのか、といったことが問題になります。 そのため、直接的にはDV・モラルハラスメントとは関係がありません。 もっとも、財産分与は、お互いの財産はどれだけあるのか、それをリスト化するとどうなるのか、隠している財産はないのか、夫婦共有財産と特有財産の区別をどうするのか、退職金を財産分与の対象にいれるかどうかなど、整理するのにかなり時間がかかります。特に、調停や訴訟をする場合、財産分与の争点を整理するだけで数ヶ月~1年くらいかかってしまうことも珍しくありません。 なお、今日の日本社会においては、家計の管理を妻がするというケースが多いです。女性がDV・モラルハラスメント加害者であればなおさら女性が管理しているケースが多いので、調査に時間がかかることになるでしょう。 その一方で、女性がDV・モラルハラスメントの加害者となっている家庭であっても、不動産などの大きな財産は男性名義で形成されていることが多いです。そうなると、DV・モラルハラスメント被害者の男性としては、財産分与を求めないので早期の離婚を求めるという形にはできません。早期の解決を求めるにあたっては、ある程度多目に(あるいは思い切って大半の財産を)財産分与するというのも選択肢の一つです。男性が被害者となるDV・モラルハラスメントと養育費
親権決定にあたっては、 ①監護の継続性 ①監護開始の適法性 ②監護能力・監護実績 ③面会交流の許容 ④兄弟不分離の原則 ⑤子ども本人の意思から総合的に判断されます。 その中でも、①監護の継続性が極めて重視されます。 ただ、今日の日本社会において、 ①監護の継続性と ②監護能力・監護実績 を備えているのは女性側であることが圧倒的に多いです。 これは、女性がDV・モラルハラスメント加害者であったとしても違いはありません。そして、DV・モラルハラスメントがあったことそれ自体は、親権を定めるにあたってさほど考慮されません。そのため、男性がDV・モラルハラスメント被害に合っている場合、親権を取得することはかなり困難を伴います。 すなわち、男性のDV・モラルハラスメント被害者は、必然的に養育費を支払う立場になることが多くなります。その場合、養育費を請求する側の女性のDV・モラルハラスメント加害者は、多額の養育費してくることが多いです。 もっとも、家庭裁判所実務においては、夫婦(元夫婦)それぞれの収入、子どもの数、子どもの年齢によって、ある程度機械的に金額が出るようになっています。ですので、家庭裁判所の基準に則った金額を支払う必要はありますが、それ以上の支払要求については拒否をすることができます。 その一方で、早期の離婚を成立させるために、家庭裁判所の基準よりも少し多額の養育費を支払うことにするというのも、選択肢の一つです。男性が被害者となるDV・モラルハラスメントと婚姻費用
婚姻費用の支払義務者は子どもに加えて配偶者も扶養しなければなりません。一方、養育費の場合は、支払義務者は子どものみを扶養すれば足ります。したがって、婚姻費用の方が養育費よりも高額になります。 そして、今日の日本社会では、夫婦間においては男性の方が高収入であることが、そして女性が未成年の子供を監護養育することが多いです。すなわち、男性がDV・モラルハラスメントの被害者である場合、女性が婚姻費用の請求者となることが多いのです。有責配偶者であることが明らかな者による婚姻費用分担請求は信義則に反することになるのですが、家庭内の密室で起こるDV・モラルハラスメントについては、加害者が有責配偶者であることを立証するのが難しいです。 そのため、女性がDV・モラルハラスメントの加害者である場合、婚姻費用を考えるとますます加害者としては離婚に応じない方が得ということになってしまいます。 このような場合は、婚姻費用を支払いながら時間をかけて離婚を争うか、早期に離婚を求めるなら養育費を婚姻費用相当額に上乗せしたり解決金を支払ったりするなどするかしなければなりません。男性が被害者となるDV・モラルハラスメントと慰謝料
DV・モラルハラスメントは家庭内の密室で起きるものであり、証拠を押さえるのが難しいです。特に、一つ一つは激しくないけれども小さなDV・モラルハラスメントが継続的に行われるパターン場合、DV・モラルハラスメント被害を裁判官に説明することはとても困難です。 なんとかDV・モラルハラスメントを立証できたとしても、慰謝料の支払いは数十万円~百数十万円程度までしか認められないことが多いです。 特に、女性のDV・モラルハラスメント加害者は、身体的暴力よりも精神的暴力(モラルハラスメント)を使うことが多いです。そのため、DV・モラルハラスメントの立証が困難であったり、立証できても慰謝料の請求認容額が少額になってしまったりすることが多いです。男性が被害者となるDV・モラルハラスメントと住宅ローン
今日の日本では、夫婦間においては男性の方が女性よりも高収入であることが多いです。ですので、住宅ローンを組むにあたっては、男性が住宅ローンを支払うことになっていることが多くなります。その一方で、DV・モラルハラスメント案件では、被害者が自宅を出て加害者と別居をすることになることが多いです。すなわち、男性が被害者となるDV・モラルハラスメント案件では、男性のDV・モラルハラスメントが住宅ローンを支払って、女性のDV・モラルハラスメント加害者が不動産に居住するという形になりやすいのです。 こうなると、DV・モラルハラスメント被害者である男性は、婚姻費用の負担が非常に苦しくなります。その上、DV・モラルハラスメント加害者は離婚が離婚を拒否してくると、経済的に苦しい状態がいつ終わるのかもわからないということになってしまいます。 このような場合は、自己破産を視野に入れるのも一つの選択肢です。DV・モラハラの解決事例
当事務所では、開設以来、10年以上にわたってDV・モラハラ事件に注力して数多くの事件に携わってまいりました。当サイトでも、そのごく一部を解決事例としてご紹介しております。DV・モラルハラスメントの被害者は、長期にわたって被害をうけることで、問題は自分の中にあるのだろう、自分に責任があるのだろうと思うようになってしまいがちです。でも、何かおかしいのではないかと気になった人、自分自身は被害を受けていないけれども自分の近しい人が被害を受けているのではないかと思った人、まずは当事務所へ気軽にご相談にお越しください。DV・モラルハラスメントの被害を受ける前の本当の自分自身を取り戻しましょう。テミス法律事務所の解決事例
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