もくじ
妻に子供を連れて別居されたとき
そもそもどちらが子供の親権を取得するべきか
配偶者が子供を連れて別居すると、残された側はかなりショックが大きいです。そして、離婚はやむを得ないとしても、なんとしてでも親権は取りたいと考える人は少なくありません。
しかし第一に、今まで子供の世話をしてきたのは誰なのかを今一度よく考えてみてください。今まで仕事にかまけていてあまり子供の世話をしていなかったのであれば、別居の際に今まで子供の世話をしていた配偶者が子供を連れていくのは当然です。
今まで自分が子供の世話をしていたとか、どちらかといえば配偶者の方が子供の世話をしていたけれども子供自身は自分と一緒に暮らしたがっていると強く確信できるとか、相手方の監護能力にかなりの疑問が残るとかいった事情がある場合は親権を争っていく価値がありますが、そうでない場合は充実した面会交流の獲得を目指していくべきでしょう。
子供が幼い状態で親権を争う場合
この場合、親権者をどちらに指定するかについて、子供本人の意思はあまり重視されません。そのため、子供を連れて出た相手方の監護状況が固定する前に、監護者指定審判及び子の引渡し審判並びに審判前の保全処分を速やかに申し立てる必要があります。
速やかに手続を取ってもなお、子の引渡しが認められる可能性は決して高くありません。ですが、手続を取らなければ、現状が固定されてそのまま相手方が親権者として指定されることになります。
子供がそれなりの年齢に達していて親権を争う場合
この場合、親権者をどちらに指定するかについて、子供本人の意思が重視されます。そのため、手続をそれほど焦る必要はありません。もっとも、子供本人の意思を確認するために、調停などの法的手続を取る必要があります。また、子供本人がこちらに見捨てられたと勘違いしないように、面会も求めていく必要があるでしょう。
相手方の監護能力に疑問が残る場合
本来は、家庭裁判所の調査によって監護能力に問題がある監護者は親権者として相応しくないとされるべきです。
しかし現実的には、よっぽどずぼらな人でもない限り、普段はいい加減にしていても家庭裁判所の調査のときには表面的に取り繕って問題がないようにすることができます。また、学校や保育園などへ調査が行っても、よっぽど問題がある場合でない限り、学校や保育園なども、保護者との間で波風が立つような報告はしません。
そのため、実際には監護能力に問題がある監護者であっても、それが表面には出てこず、親権者・監護者として指定されてしまうことは少なくありません。
このような場合、通常以上に面会交流が重要になります。まだ幼く自分の意見が言えなかった子供も、いずれは自分の意見を言えるようになります。そんなときに、現在の監護状況に問題があったとき、親権者の変更を希望すると子供が言い出せるように準備をする必要があるからです。